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【推し声優の恋人になれたのに】ストーカーに追い詰められる私の日常
【推し声優の恋人になれたのに】ストーカーに追い詰められる私の日常
Author: 月歌

【第一部】プロローグ 豹変

Author: 月歌
last update Last Updated: 2025-12-01 15:43:17

「美月さんは、僕のものです」

壁に押し付けられた。身体が震える。蓮くんの両手が、私の両肩を掴んでいる。

逃げ場がない。

「ずっと、そう決めてたんです」

蓮くんの手が、私の髪に触れる。

「最初に会った時から。美月さんは、僕だけのものだって」

涙が溢れてきた。

怖い。

この人は、私が知っている蓮くんじゃない。

「美月さん、泣かないでください」

蓮くんが優しく微笑む。その優しさが、何よりも恐ろしい。

「僕が、ここにいますから」

「助けて……」

小さく呟く。

「誰も来ませんよ」

蓮くんが私の涙を拭う。

「この部屋、防音しっかりしてるじゃないですか」

「やめて……」

「二人きりで、ゆっくり話せますね」

バッグが、肩から滑り落ちた。中から、スマホが床に転がる。

「スマホ、取りたいんですか?」

蓮くんがそれを拾い上げた。

「警察に電話?それとも、康太に?」

「返して……」

「どっちにしても、させません」

蓮くんがスマホを自分のポケットに入れる。

「美月さん、わかってください。僕は美月さんを愛してるんです」

「これは……愛じゃ……」

「愛ですよ」

蓮くんの目が、じっと私を見つめる。

「僕は美月さんを、誰よりも愛してる。だから、誰にも渡したくない」

「蓮くん……」

「美月さんだけを見てきました。ずっと。美月さんが何を食べるのが好きで、何色が好きで、朝が弱くて、コーヒーに砂糖を入れないことも。休日の過ごし方も、好きな本も、全部」

蓮くんの声が、どんどん低くなる。

「美月さんの全部を、知ってます」

「それは……」

「だって、好きだから」

蓮くんが微笑む。

「好きな人のこと、全部知りたいって思うの、普通じゃないですか」

「普通じゃ……ない……」

「普通ですよ」

蓮くんの手が、私の首筋に触れる。

冷たい。

「美月さんは、僕だけを見ていればいいんです」

「やめて……」

「他の男を見る必要はない」

「康太!!」

叫んだ。

ありったけの声で。

「康太!!助けて!!」

蓮くんの手が、私の口を塞ぐ。

「静かにしてください」

蓮くんの声が、冷たい。

「誰も来ませんから」

涙が溢れて、止まらない。

もう、駄目だ。

誰も、助けに来ない。

五年前

私が柊木蓮の声に恋をしたのは、人生で一番辛い時期だった。

その声は、優しくて、温かくて——

私を、救ってくれた。推しが、恋人になった。

夢が叶った。

そう思っていた。

でも——

その声が、いつから檻に変わったのだろう。

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